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■外来がんリハビリテーションの必要性
 
呼吸器がんでは、術創の疼痛による肩の挙上困難とともに、肺切除による肺機能低下や術前からの低肺機能により、動作時の呼吸困難や全身倦怠感により、運動耐容能(体力)の低下が退院後も遷延する恐れがあります。
特に、高齢者では退院後の活動量の維持・向上や運動習慣の確立が重要です。
 
2013年に発表されたCochrane のIntervention reviewでは、非小細胞肺癌術後12か月以内に受けた運動療法(Exercise training undertaken by people within 12 months of lung resection for non-small cell lung cancer) のテーマで、70年代以降2013年までのランダム化比較試験を集積し、メタアナリシス(過去に独立して行われた複数の臨床研究のデータ収集・統合し、統計的手法を用いて解析した系統的解説)、を行い、以下のように総括されています。
 
  • 非小細胞肺癌(non-small cell lung cancer; NSCLC)の術後には、患者は運動をあまりできなくなり、健康関連QOL(HR-QoL)が悪化する。運動療法(Exercise training)は慢性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎)や前立腺癌・乳癌患者において、運動耐容能やHR-QoLを改善する効果があることが示されている。しかし、NSCLCの術後患者では、運動療法の効果は不明確である。
  • この総説では3つの研究の178名のデータを集めた。全体的なエビデンスの質は劣っていた。その理由は、適格基準に合致する研究の数が少ないこと、研究方法に限界があることであった。
  • 我々の総説の結果では、介入群では対照群(運動療法を受けない)と比較して、運動療法後に運動耐容能は有意に増加したことが示された。しかし、HRQoL、肺機能、下肢筋力の改善は示されなかった。
  • 運動療法は、NSCLCの術後患者の運動耐容能を改善する可能性がある。
(Cochrane Database Syst Rev. 2013 Jul 31;(7):CD009955)
 
従って、質の高い研究デザインによる臨床研究はまだ十分に実施されておらず、さらには、我が国の医療事情に見合った効果的な介入方法を検討、検証していく必要があると考えています。
 
■外来がんリハビリテーションプログラムの開発
 
■外来がんリハビリテーションプログラムの導入効果